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食直前に飲まなくてはならない薬とは?
●それは、糖尿病治療薬の中の食後過血糖を改善する以下の2つのグループに属する医薬品です。
Ⅰ.速効性インスリン分泌促進剤
①ナテグリニド :ファスティックⓇ 、スターシスⓇ
②ミチグリニド :グルファストⓇ
③レパグリニド :シュアポストⓇ
これらはインスリン分泌促進剤の スルフォニルウレア剤★(SU剤;オイグルコンⓇ、ダオニールⓇ、グリミクロンⓇ、アマリールⓇ等) と同じSU受容体に作用し、インスリンを分泌させ、血糖降下作用を発揮します。
ただし、SU剤と異なり作用発現時間が服用後30分と早く、1時間後効果最大となり、 持続時間は2~3時間と短いため食後の急激に上がる血糖(食後過血糖)の改善にのみ 使用される薬剤です。
故にこれらの薬剤は添付文書上では食直前(食前10分前)服用の指示が決められています。 食前30分服用では低血糖を起こす危険が高く、食後服用では十分な効果が期待できないからです。
★ちなみにSU剤は添付文書上では食前または食後服用となっています。
①アカルボース :グルコバイⓇ 食直前に薬を飲もう
②ボグリボース :ベイスンⓇ
③ミグリトール :セイブルⓇ
食べ物に含まれる糖質(炭水化物)は消化管内の分解酵素で徐々に分解され、 最終的に小腸粘膜上皮にある二糖類分解酵素(α-グルコシダーゼ)により単糖(ブドウ糖) に分解され、吸収されて血液中に入ります。
α-グルコシダーゼ阻害薬はこの酵素の活性を阻害することで、 腸管からの糖の吸収を大幅に遅れさせ、食後過血糖を抑制する薬剤です。 したがって、α-グルコシダーゼが食事の前に腸管内に達してなくてはならないため 食事をする前に飲んでおくわけです。 最悪、食べ始めてからでも服用すれば何とか間に合いますが食後では効果が期待できません。
α-グルコシダーゼ阻害薬だけでは低血糖はほとんどみられませんが、 他の糖尿病治療剤と併用している際に低血糖が起こると、 砂糖(ショ糖)など二糖類を服用しても消化吸収が遅延しているので、 速効の血糖上昇は期待できません。故にブドウ糖を携行してもらうことが必要です。
これらのグループに属する糖尿病治療薬は、患者さんに渡す際、用法が食直前になっているかどうか、処方箋や薬袋、患者さんの認識を確認してからお渡ししたいと思います。
(アカネ調剤薬局 Ms K)